スイスの移民規制-居住許可・労働許可

総人口約800万人のうち、4人に1人が外国人で、現在年間8万人もの社会増加があるスイスにおいて、人々は今のようなペースで今後も外国人が増えていくことは望ましくないと感じています。それが2014年2月の大量移民に反対する国民投票の結果でした。移民の数は制限しなければならない、なぜなら今はうまく行っているかもしれないけれど、このまま進めば、住宅不足、交通渋滞、社会的インフラの不足などが顕著になり、スイスの生活の質は落ちてゆくだろう、というのが制限派の背景にある予測と不安でした。そしてもちろん、高い賃金を目指して押し寄せる外国人に、職場を奪われたら困るという危機感もありました。

国土の狭いスイスは、人口が国力という考え方とは異なる考え方をしています。また、多くの外国人労働者を国内に入れることは将来的に問題を生む可能性があります。ここで労働許可を出すことはスイス経済の発展につながっていくのか、そういった観点から、スイスでは労働許可申請をきちんと審査します。我々が持つ、スイスの労働許可取得は難しい、スイスは簡単に許可を発行しないというイメージは、小さい国で許可の絶対数が小さなことに加え、こういった審査体制によるものでしょう。現在も、スイスとの間に人の自由移動協定のあるEU諸国などを除く第三国には制限がありますし、またその許可は、明確に、国内・EUなどで確保できない、専門職系の人材のみと決められています。2002年の人の自由移動協定発効以後、実質的にこれらの制限がなくなったEU諸国などからの労働力流入にも、今後、国民投票の結果を受けて制限が設けられることになります。

現在、移民数規制の方針を実行に移すべきスイス政府は、具体的にEUとと交渉をし、数値や具体策を定 める段階へと来ていますが、交渉は難しそうです。また、来る11月30日には移民による人口増加を0.2%にとどめるべきとするエコポップ・イニシアティブという国民投票も控え ており、移民の規制がどのような形でなされるべきなのかには注目が集まっています。場合によってはEU諸国だけでなく、日本など第三国出身者の居住・労働許可審査にも影響を与えるものになるでしょう。

※「お役立ち情報」に特に日本人に関連するスイスの滞在・労働許可情報を追加しました。

 

 

広告